Dreamforce 2023 レポート

弊社テクニカルディレクターによるDreamforce 体験記!

マッシュマトリックスのブログを読んでくださっている皆様。初めまして。今回は年に一度のSalesforceの一大イベントDreamforceへ参加してまいりましたので、Dreamforce 2023のレポートを記事にさせて頂きます。今回は、弊社代表 冨田、セールスディレクター 川野、シニアアカウントエグゼクティブ 芦田、そして私ソリューションエンジニアリング部でテクニカルディレクターをしております神崎の4名で参加してきました。

(Salesforce Towerをバックに。開催中は市街地の中心がSalesforce一色に。)

はじめに

今、マッシュマトリックスは新たなステージに向けて大きく舵を切っており、新たな人材が続々と入社しております。我々社員の思いは一つ。世界の津々浦々まで「Mashmatrix Sheet」を広めて行くこと。そのために今回のDreamforceはイベントへの参加はもちろんのこと、世界でのネットワーク構築と、どのようにすれば弊社がAppExchangeプロバイダーとして世界で通用するプロダクトとしての活路を開けるか、その足掛かりをつくることにあります。

少し話が脱線しますが、私は20代の頃、アメリカのニューヨークに6年間ほど住んでおり、ニューヨークの大学でコンピュータサイエンス学部を卒業し、2年間ほど日系企業の現地法人でプログラマーとして働いておりました。9.11で同僚が亡くなるなど様々な経験をした後、日本へ帰国。日本では外資系IT企業で、プロジェクトマネージャ、プリセールスコンサルタント、カスタマーサクセスなどをしてまいりました。

そして歳を重ねるごとにある思いが強くなっていました。「Made In Japan」、IT業界でも日本のモノづくりの凄さを世界へ伝えていきたい。はじめは自身でプロダクトを開発して世界へ挑戦するのが夢でしたが、自分への限界を感じ、夢半ばで諦めかけている時に出会ったのがこの「Mashmatrix Sheet」と代表の冨田です。「Mashmatrix Sheet」に無限の可能性を感じ、また冨田の人柄に惚れ込んで弊社へ入社しました。今までの人生の集大成として、この「Mashmatrix Sheet」を世界へ届けることを達成していくことが私の生き甲斐になりました。そしてそんな強い思いを持っているのが自分だけではなく、弊社の社員全員が高い志を持っていることに感無量としか言葉にできません。

Dreamforce 1日目

「Data + AI + CRM + TRUST」がキーワード

それでは話をDreamforceのレポートへ戻します。

1日目は、Salesforceの創立者マーク・ベニオフ氏の基調講演からです。マークの基調講演を始め、日本語通訳があるセッションは他社さんでも記事にされるので、敢えて今回のレポートでは割愛もしくはサマリー程度の紹介にいたします。

まずは盲目のTrailblazerであるマイク氏の紹介です。Salesforce社のAI活用による障害者のSalesforce技術者育成推進について説明がありました。素晴らしい取り組みです。

「Data + AI + CRM + TRUST」がDreamforce23のキーワードです。

日本は世界で2番目に大きな市場として紹介されました。マークから「おはようございます」「ありがとうございます」と日本語で挨拶がありました。(笑)

「The AI Revolution」や「The AI Opportunity」など「Einstein 1 Platform」についての話がメインでした。Integrated, Intelligent, Automated, Low code & no code, Openがコンセプトです。AIのスキルセットを持ったTrailblazerをTrAIblazersと呼ぶそうです。私自身もTrailblazerですが、やはりAIのスキルアップはキャリア形成の上で避けられそうにないですね。

Expo会場 / 各ブースの様子

では、ここからはExpoに出展されている企業の方々から伺った話についてレポートします。まずExpo会場の風景がどのような感じか写真でお見せします。

まずはTableauのブースへ。Tableauは弊社もユーザですが、AIとTableau、どのようなシナジーがあるか早速話を聞いてみましょう。弊社ではユーザ定着化を能動的に促進する目的で、ユーザの活用状況を可視化するツールとしてTableauを導入しています。各担当者の知識や経験を基盤にして可視化の先にあるInsight(洞察)が生まれます。

しかし時代はその先にありました。下の写真を見てください。こちらはService Intelligenceとしてパッケージ化されている機能ですが、問い合わせがあった内容のセンテンスをトークナイズし、どのような問い合せがきているか可視化できます。そしてその内容のセンチメントを把握し、ポジティブな問い合せなのかネガティブな問い合せなのか判断します。ここまでは5〜6年前までの技術で可能になっていました。

では「3%のユーザが解約する理由は?」という洞察を知りたい場合、私の5年間のカスタマーサクセスディレクターとしての経験から、その洞察に行きつくまでどれほどの分析が必要だったでしょうか。しかし次の画像にある「Ask Einstein」をクリックして、質問を入力するとEinsteinがInsight(洞察)へたどり着くまでのPATHを教えてくれます。現時点では人間の補助的な役割を果たすのがEinsteinですが、そう遠くない未来に属人的な知識や経験は、もはやEinsteinには叶わなくなることを痛いほど身に染みて感じました。

またDataCloudがTableauの利便性、可能性を飛躍的に伸ばしているのは間違いないでしょう。課題としてはデータの整備の仕方と質問の仕方にお作法やコツが必要なところでしょうか。

続いてブースの中で気になるキーワードを発見しました。「True Revenue Intelligence」こちらはRevenue Gridという会社が提供しているサービスで、「Ultimate Activity Capture Solution」つまりSalesforce上に保存されている活動(行動)や活動(ToDo)そしてEmail、Callender、File、ContactをAIが分析して、より正確なパイプラインの可視化を提供します。

営業部門の管理職の方は、各営業担当者に行動履歴やToDoといった行動予定の入力を促していると思います。しかしそのデータから何を発見されていますか?今、ある営業担当者がコンタクトしているプロスペクトは実はGate Keeperかもしれません。本来の意思決定者ではないプロスペクトへの活動は無駄になることが多いと思います。ステークホルダーへ正しいタイミングで正しいメッセージを送るには、それなりの知識と経験が必要になり、営業部門の管理職の方々は知恵を絞りながら、部下へアドバイスしているのが現状ではないでしょうか。

そこで生まれたのがこちらのAIアプリケーション「True Revenue Intelligence」です。営業の活動をキャプチャーしてAIに活動の成否を判断させる画期的なソリューションではないでしょうか。こちらのソリューションは弊社のセールスディレクターへも紹介しようと思います。

今回のDreamforce 2023では、「Data + AI + CRM + TRUST」がキーコンセプトになっているので、ブースにはAIをベースにしたアプリケーションが多いように思います。続いて紹介する会社はXactlyです。

こちらの会社は、「AI+Data=eXact Sales Science」をキーコンセプトにForecastingの正確性、パイプラインを増やすためのコーチング、営業のインセンティブ算出や営業オペレーションモデリング&プランニングをAI活用によって向上させるアプリケーションです。且つ、日本語対応しており、日本にオフィスもありますので是非検索してみてください。

一日目、最後のブースはWhatfix社です。

こちらはDigital Adoption Platformでして、Salesforceの定着化を支援するガイダンスやSelf-Helpなどを提供する会社です。こちらのアプリケーションは70か国語に対応しているそうで、海外拠点への展開も視野に入れているクライアントが多いそうです。ブース自体も賑わっていました。

私がカスタマーサクセスディレクターを兼任していると伝えたら、その場でMeetingをスケジュールしてくださいました。またブースにこの会社のアプリケーションを導入した会社のCEOを呼んでおり、ユーザの経営者視点で製品の良さを伝えていただきました。来週、デモンストレーションをして頂けるとのこと。楽しみです。

Dreamforce 2日目 

世界中のTrailblazerが集まる会場へ

Dreamforce 2023、2日目です。今日は日本語通訳が無いExpo会場のショートセッションを中心にレポートします。

「Unlocking the value of customer data」:LTIMindtree社

「Data as a Product」をキーコンセプトとしてSalesforceのImplementation Serviceを提供するVendorのセッションでした。Reusable & Discoverable, Quality Driven, Secure, Reliable, Operable Smoothlyが「Data as a Product」の定義です。主に情報システム部門向けでSalesforceのData Architectureについて説明されていました。潜在的なCustomer Dataの価値を理解し、お客様にSalesforceの導入効果を示す手法としての「Data as a Product」は興味深かったです。

ショートセッションは、どちらかというと各社のプロモーションがメインなので会場を移りました。

世界中のTrailblazerが集まる会場へ。いくつかのブースを紹介します。

業界別イノベーションについて私に説明してくださった方は、金融の保険業界のスペシャリストで、いわゆる業種別テンプレートをデモンストレーションして頂きました。保険会社は商材の組み合わせが複雑で見積を作るのにもかなり時間がかかるという課題があり、その見積の複雑さを解決するのがAI Einsteinの能力だそうです。

こちらの画面は、様々な条件分岐(Churn Rateの閾値毎)にてDiscount率を変えるフローです。この設定をすることで、保険の販売員は簡単に見積をSalesforce上で作成できます。

続いてAdminエリアのユーザマネジメントとアダプションのブースで話を聞きました。

弊社が提供する「Mashmatrix Sheet」を使うことでアダプションは向上するのですが、敢えてSalesforceがどのようにアダプションを上げるのか聞いてみました。回答は非常にアメリカ的で、ログイン率のレポートが出せるので、ログインしていないユーザを割り出し、上司から指導するように管理するとのことでした。

他にもAIを使ったコーディング手法やコードレシピなど開発者の方には、魅力的なブースが沢山ありました。

最後にAppExchangeブースを紹介します。

規模としては思ったより小さく、コンテンツもAppExchangeの探し方をナビゲートするUIがあるだけでした。

Dreamforce 3日目

ネットワーキング

Dreamforce 2023、 3日目です。本日はネットワーキングに注力します。

今回のDreamforce 2023からMeet Up(参加者を繋ぐ試み)が実施されました。

はじめは、Education.cloudを採用しているアメリカの大学のIT部門のHeadの方からお話を伺いました。私自身アメリカの大学を卒業しているので、登録や事務的なプロセスの多さには頭を悩まされました。特にアドミンの受付で紙一枚出してもらうのに数時間待たされる、というのが日常茶飯事でした。Education.cloudを導入することでそのアドミン業務に費やす時間を大幅に削減できたそうです。生徒が顧客として考えたらCRMは確かに業務の最適化に向いていると思いました。

ただ、何万人もの生徒のデータを一人一人Salesforceへ入力・更新するのは大変だそうで、念のため用意していた「Mashmatrix Sheet」の英語のプレゼン資料を見せながら、その作業を軽減できることを訴求してきました。Linkedinのアカウントを教えてもらい、日本へ帰ったら連絡を取り合う約束をしました。

2組目は、あるIT企業のCEO&Founder(右側の男性)の方に自動車、製造業のAI活用の最新事例を紹介してもらいました。日本の自動車メーカーが彼のクライアントの1社だそうで、左側にいらっしゃる方がそのクライアントのアメリカ法人のAI促進をリードしていらっしゃる方で、その会社でのAI活用事例を話してもらいました。

生産過程の品質管理でAIを活用する事例は大変興味深かったです。音のない部屋に車を入れ、ある音波を流すと品質に問題がある場所が特定の音を出すそうで、AI(機械学習)がその何万パターンもある音を分析し、品質に不備があるところ特定できるそうです。また何百といったカメラが設置されたラインを車が通過する際に写真を撮り、その画像をAIが解析し問題点を特定して、こちらも品質管理に使われています。

せっかくの機会なので、アメリカ法人の方にSalesforceを活用する上での課題をヒアリングしたところ、BOM管理を行うのが課題と感じているそうです。販売BOM、設計BOM、製造BOMの整合性や、新旧の販売BOMが混在しているため、そのBOMデータメンテナンスに苦労されているとのこと。そこで「Mashmatrix Sheet」で販売BOMのメンテナンスをしてはどうかと提案したところ、興味を持って頂けました。こちらも名刺交換をし、日本へ帰ってから連絡を取り合う約束をしていただきました。

あと、自分でも会議を主催しようと思い「Excel like UI on Salesforce as AppExchange」と題して、参加者を募集しましたが、残念ながら参加者は0でした。

アメリカでは受け身では駄目です。攻めの姿勢が重要ですね!もっとネットワーキングをやりたいところですが、時間的制約があり今回は2件のリード獲得で終わりとなりました。この一つ一つの積み重ねが、いつか弊社を世界のステージへと繋げる道だと信じ勇往邁進するのみです。

まとめ

最後のセッションとしてJapanラップアップに参加しました。そこで聞いた内容と私の総括をレポートします。

今回のDreamforceではAIがメインキーワードでしたが、SalesforceのDream(夢)だというのが率直な感想です。ポテンシャルやコンセプチュアルなメッセージは理解しましたが、Dreamforceで得た情報を基にすぐに行動に移れるかといったら、まだまだといったところです。ただ今後のロードマップでは日本でもEinstein関連の製品がリリースされてくるので、それまでにAIに向けた地盤を固めておくことが必要だと思いました。

そして反省点としては、一番大切な海外進出への足掛かりを作ることにもっと時間を割くべきでした。今回は弊社のブログを書くために調査もしていましたが、3日間全部MeetUpでも良かったかと。初めてのDreamforceだったので、なかなか的を絞れませんでしたが、次回以降で来られる機会があれば何をすべきかは分かりました。

最後にネットワーキングの場として開催されたJapan Nightやパートナーディナーでお名刺交換させて頂いた皆様、ぜひ日本へ帰国後お話しする機会を頂けたらと思います。また、ブログを最後まで読んでくださった皆様、今後ともマッシュマトリックスの動向を温かく見守って頂けますでしょうか。よろしくお願い致します。

ソリューションエンジニアリング部 テクニカルディレクター
神崎 岳彦

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