
Salesforceの世界最大イベント「Dreamforce 2026」が2026年9月15日から17日までの3日間、サンフランシスコで開催されました。現地ではAIforceやSlackforceを中心に、AIエージェントと人が協働する新しい働き方が示されました。
マッシュマトリックスからは、例年どおり多数のメンバーが現地に足を運びました。彼らは今回のDreamforceをどう捉えたのでしょうか。前編では、それぞれが注目した発表やセッションについて、5名のメンバーに聞きました。
- 小原(カスタマーサポートサービス部)
- 高橋(カスタマーサポートサービス部)
- 中川(製品開発部)
- 寺田(セールス部)
- 東(セールス部)
※本記事では、SalesforceのデータをAIインターフェースから利用できる仕組みを「AIforce」、Slack上の体験を「Slackforce」、Salesforce内でのAIエージェントの構築・運用を「Agentforce」として扱います。


目次
Dreamforce 2026を「一言」で表すなら
— まず、今回のDreamforceを一言で表してください。
中川:「AIforce、そしてSlackforce」です。
高橋:「Agentic Enterprise」ですね。
寺田:私は、シンプルに「Salesforce祭り」。
小原:「どこでもAI × Salesforce」です。
東:「ITの最先端」です。
— 表現はそれぞれですが、AIとSalesforceの関係が大きく変わったという認識は共通していますね。
中川:数年前からAI活用の流れはありましたが、今回のDreamforceでは、Agentforceによって自社の業務を担うAIエージェントを構築・運用する段階から、Salesforceのデータや機能をあらゆるAIやインターフェースから利用できる「AIforce」へと、構想がさらに広がったことが大きなポイントだったと思います。
小原:Dreamforceでは、1,600を超えるブレイクアウトセッションをはじめ、ハンズオントレーニング、コミュニティ・ラウンドテーブルなど、合計2,000以上のプログラムが開催されました。これほど多くの発表や議論が同時に行われていることにも、Salesforceのエコシステムの大きさを感じました。

Salesforceを開かずに、Salesforceを使う
— 最も印象に残った発表やセッションを教えてください。
寺田:「AIforce基調講演:Anywhere Humans and Agents Work」です。
私なりに解釈すると、AIforceとは、Salesforceの画面を開かなくても、SlackやChatGPT、ClaudeなどからSalesforceのデータ、機能、業務ロジックなどを人やAIが利用できる仕組みのことです。
これまでのSalesforceには、人が画面を開いて操作するという前提がありました。今後はSlackやTeams、Claudeなどの外部AIが人間の作業場所となり、Salesforceは裏側でデータを整え、業務を支えるインフラに変わっていくのかもしれません。
エージェントを構築する「Builder Central」や、その動作を監視する「Observability Center」のデモもありました。新しい環境に順応するだけでなく、構築・運用するスキルも必要になると感じました。
中川:私は「Slack基調講演:The Front Door to the Agentic Enterprise」です。
「Slackforce」の紹介では、Slackを「Agentic Enterpriseのフロントドア」と位置づけ、Salesforceのデータや業務を日常の会話の中で扱えるようにする方向性が示されていました。Slackforceは、AIforceをSlack上で具体化する仕組みの一つです。
特に印象的だったのが、「Slackbot in Channels」と「Slackbot Two-Way Voice」です。
「Slackbot in Channels」は、Slackbotが個別のDMではなくチャンネルメンバーとして参加できるというものです。AIへの質問や指示、その回答をメンバー全員が共有できます。個人のDMに閉じていたAIとのやり取りが、チームの共有知になるのは大きな変化です。
「Slackbot Two-Way Voice」によって、双方向の音声操作に対応できるようになります。例えば、運転中や手が離せないときにもSlackを利用できるので、「Slackを離れずに仕事を完結させる」という姿が、さらに具体的になったと感じました。

AIを加えるのではなく、仕事を設計し直す
小原:「Salesforce on Salesforce: Scaling the Agentic Enterprise」が印象に残りました。
ここで示されたのは、AIを既存業務に追加するだけでなく、人間とAIエージェントが協働することを前提として、仕事やプロセス、組織、顧客体験を最初から設計し直そうというメッセージです。
特に参考になったのが、Salesforce社内で実践されている「RIS(Rapid Innovation Squad)」でした。新しいAI機能をどう検証し、現場へ導入するか。その具体的なヒントが示されていました。
※RIS(Rapid Innovation Squad):最新技術(特にAIやデータ活用)を使って、現場の課題を『数週間単位』の超高速で解決し、プロトタイプを開発する専門チーム
IT部門だけでなく、各部門が自分たちの業務に合ったツールやエージェントを作り、改善していく。呼び出し場所を選ばない「AIforce」の根底には、「全社で自由にAIを活用する」という思想があるのだと感じました。
AI時代だからこそ問われる「人間らしさ」
— 技術や業務活用とは少し異なる視点のセッションもあったそうですね。
高橋:will.i.am氏とMatthew McConaughey氏による「AI and Humanity」が特に心に残りました。
アーティストのwill.i.am氏と俳優のMatthew McConaughey氏を迎えたこのセッションでは、「AIへのアクセス格差」や「教育格差の拡大」「人間の創造性や判断力を守りながら、技術をどう良い方向へ使うか」といったテーマに触れていたのが印象的でした。
普段は「AIで何ができるか」に目が向きがちです。しかし、誰もが同じようにAIの恩恵を受けられるのか、AIに任せすぎず人間が考える力をどう残すのか、という視点も忘れてはいけません。
自分が日々AIに触れられる環境は、決して当たり前ではないと気づかされました。

東: 私は、YOSHIKI氏とPAULA GOLDMAN氏の対談「YOSHIKI’s Human Element: AI, Art, and Ethics」に参加しました。
印象に残ったのは、YOSHIKI氏がAIによる創作を否定せず、共存するものとして捉えていたことです。AIで作曲しても、人の手で作曲しても、大切なのは作り手の思いが込められていることだという話が心に残りました。
それはビジネスにも通じます。作る側、届ける側がどんな思いで仕事をしているかが重要です。健全な考えにAIが加わることで、ビジネスをさらに広げられるのではないかと感じました。

Dreamforceが示したのは、機能ではなく働き方の変化
5人の話から伝わってくるのは、Dreamforce 2026での発表は、単なるAI機能の追加ではなかったということです。
AIエージェントが人と共に働き、Slackなど普段使っているツールからSalesforceのデータを活用し、機能を動かす。Salesforceは「人が画面を開いて使うシステム」から、「人とAIが働くあらゆる場所を支える基盤」へ変わり始めています。
後編では、その変化が開発やサポート、顧客支援の仕事にどのような影響を与えるのか、そして日本のSalesforceユーザーに何を伝えたいのかをお伝えします。後編もお楽しみに!









