【台湾 現地レポート】FITi CRM Forum 2025に参加!
AIとデータが牽引する顧客管理の未来とは

2025.10.15公開

はじめに

2025年9月24日、Salesforceサミットパートナーである天新資訊(FITi)主催の「FITi CRM Forum 2025」に参加してまいりました。今年のテーマは「CRM×Data×AI」。フォーラムは台湾・台北のシャングリ・ラ ファーイースタン 台北(台北遠東香格里拉)で開催され、およそ56社88名のSalesforceの導入済み、または導入を検討している企業の方々が参加しました。この記事では、当日のセッション内容をレポートすると共に、台湾のSalesforce市場の動向、そして私たちAppExchangeパートナーの視点からCRMの新たな方向性を考察します。

※「FITi CRM Forum 2025」イベントぺージ
https://www.fiti.com.tw/event/2509_crm_forum.html

当日の様子 – 壇上はSalesforce 台灣總經理 (General Manager, Taiwan) 蘇俊熹(そ しゅんき/Tony Su) 氏

主催企業:天新資訊(FITi)について

今回このフォーラムを主催した天新資訊(FITi)は、台湾で最も実績のあるSalesforce導入コンサルティングパートナーで2006年からSalesforceをサポートしています。Salesforceのパートナーランクで最高位である「サミットパートナー(Summit Partner)」に認定されており、企業の課題に合わせてSalesforceを導入・定着させるサービスを提供しています。

※天新資訊(FITi)公式サイト
https://www.fiti.com.tw/index.html

台湾のSalesforce市場について

Salesforce台湾支社は今年に設立されたばかりで、米国本社の直轄拠点として運営されています。

当初は台湾の強みであるハイテク・製造業のグローバルなサプライチェーン管理や複雑なBtoB顧客管理を主要領域として市場を確立。近年では、台湾経済の中核をなす中堅・中小企業(SMB)セグメントにおいても、DX推進の波に乗り市場浸透を加速させています。

現在はAIとData Cloudを軸に、全方位で台湾企業のデータ活用と成長を支援するプラットフォームとしての地位を固めており、本フォーラムでもAI活用が主要テーマとなるなど、市場の関心の高さが表れています。

イベントの講演者&サマリー

天新資訊(FITi) 総経理 陸朝中 氏

陸総経理はCRMの重要性と共に、AI時代におけるデータ活用の基盤としてのCRMの役割と、そのデータの品質が企業の成長をいかに加速させるかについて語りました。

「CRMは何も入っていなければただの箱である。そこに正しい情報を入れていくことで、初めて価値が生まれる。CRMに「過去」の情報を蓄積することで、これまで価値のなかった細切れの情報が、「未来」に活かすことができる会社の財産になる。特にこれからAI時代に突入するが、CRMがあって初めてDataに価値が生まれる、正しいDataがあってこそAIが活きる。DataはCRMの栄養分でありAIの燃料である。この3つをうまく生かしてこそ、企業の発展は加速していくのだ」

Salesforce 台湾総経理 蘇俊熹 氏

Salesforceの成長の軌跡、台湾市場への見解、今後の展望が語られました。

キーワードは『Agentic Enterprises』への進化。いかにして自社をAgentic Enterprisesに成長させられるか。AI Agentからの提案により、従来のSalesforce活用を越え、新しい価値を創り出す。そのためにも、信用できるデータは必要不可欠である。SalesforceとAgentforceにより、人とAgentはいい協力体制を作っていくだろう」

「CRM × AI × 意思決定:オペレーショナルコミュニティを構築するための重要戦略」
Salesforce 台湾 アカウントエグゼクティブ 黃奕翔 氏
Salesforce ソリューションエンジニア 馬西緯 氏

台湾Salesforceの2名によるセッションでは、従来のCRMや企業活動は、AIの導入によりどう変わるのか、営業活動・カスタマーサポート活動を例にデモが行われました。

「営業活動においては、AIがSalesforce内のデータだけでなくマーケットの最新状況も踏まえ今何をすべきか提案してくれることで、効果的な営業活動ができるようになる。企業がAIを導入しAgentic Enterprisesに成長するためには、4つのR(Redesign-Redeploy-Reskill-Rebalance、仕事の完成方式を再設計し、部門のキーパーソンを説得し、社員をトレーニングし、全体のバランスをとる)がポイントとなるだろう。」

さらに実際にSalesforceがAgentforceを導入して9ヵ月たった現在までの効果も共有され、Salesforceヘルプにおいては、対応数と満足度に大きな変化はなかったもののサポート工数が30%削減されたとのことでした。

「コラボレーション × 統合 × 自動化:Kingstonのスマートオペレーション設計図」
Kingston Technology CRM グローバルプロジェクト責任者 張愷聞 氏

張氏は、Salesforce導入からこれまでの効果、今後の展望について語りました。

「Kingstonでは、4年前にSalesforceを導入し、全世界の拠点に展開をしている。Salesforce導入前には、複雑さ・データの散在・属人化・低いデジタルリテラシー・経験の継承への不安・一貫性のないデータなどの課題があった。Salesforceを導入し、マーケティング・営業・サービスのそれぞれに目標を立て、全社においてデジタル化を進めている。現在では、新規問い合わせ・取引先とのやり取り・営業・マーケティング・顧客サービス・経営・財務の全社を通じ、Salesforceを活用している。現在は設定した4ステップのうち2ステップ目、まずはCRMの活用と自動化を進めている段階であり、今後はさらに情報を蓄積させ、最終的にはAIの導入を目指している。」

「医療機器製造からデータ駆動へ:台湾医療ブランドによるSalesforceを活用したグローバル競争力向上」
崇仁科技(GaleMed) CEO Thomas Willemsen 氏

ドイツ人であるThomas氏は、流暢な中国語で講演を行いました。

「GaleMedはもうすぐ設立40年を迎える、台湾の医療関係のOEMメーカーである。特徴として、5,000SKUという多くの製品を製造していること、売り上げの上位20社が70%を占めている。台湾にはOEMメーカーが多い。顧客数が少ないのであれば、CRMが不要と考える人も多いだろう。それにも関わらずSalesforceを導入した理由は、将来を見据えたからだ。将来のために既存のOEMだけではなくODMへの発展、パイプラインの拡大、新たなプロジェクトの確立と運用、デジタル化、会社全体として見られる共通データ、共通言語化などを実現するため、Salesforceに投資をした。」

現在、導入して3週間程度とのことで、どのように活用が進むかが注目されます。

「データ駆動力 × AI:データ準備からインサイトを行動に移すための実践ガイド」
Tableau アカウントエグゼクティブ 黎彥君 氏
Tableau 數據顧問(Tableau データコンサルタント)賴詩雅 氏

TableauにAIが加わったら何が変わるのか、デモも交えて解説がありました。

「これまでは必要なデータを作成する必要があったが、AIが加わることでどのようなデータが欲しいかを伝えることで、多くのデータの中から必要な分析結果がそのまま出てくるようになる。さらに、これまではデータがあり、その先は人がそのデータを判断していた。AIが加わることで、担当それぞれに対し自分のKPIのどこを強化しなければならないのか、どこが足りないのか、達成のために何をすべきかが具体的に提案される。」

AIがあればダッシュボードは不要になるのかという問いに対しては、ダッシュボードは共通の指標として必要だとの回答がありました。

パネルディスカッション/Q&A

パネルディスカッションでは、天新資訊 副総経理 李冠緯 氏進行のもと、登壇者が質問の回答及び総括が行われました。

終盤のパネルディスカッションの様子

AppExchangeパートナーの視点から:
SalesforceとMashmatrix Sheetで拓く、新たな可能性

今回のフォーラムで得られた最も重要なメッセージは、企業の成長が「AIと信頼できるデータ」の活用にかかっているという、もはや避けられない事実です。Kingston社やGaleMed社の先進的な事例がまさに示したように、AI活用の成否は、その燃料となる『信頼できるデータ』をいかに蓄積できるかに懸かっています。そして、そのデータの根幹をなすのが、Salesforceのような顧客データを一元管理するための基盤(CRM)に他なりません。この、企業の成長の鍵を握る『信頼できるデータ』をCRMに供給する部分こそ、私たちMashmatrix Sheetがもっとも貢献できる領域です。

フォーラムで一貫して語られた「正しいデータがAIを活かす」という言葉は、全てのビジネスに当てはまります。台湾の例では、管理すべき顧客が少ないOEM企業にCRMは必要ないと考える企業が多かった中、活用する企業が現れ、これからCRMの導入有無による差は歴然となってくるでしょう。

来るべきAI時代に備えるため、まずはSalesforceという最高の「器(CRM)」に、自社のデータを一元管理することから始める必要があります。しかし、どんなに優れた器があっても、そこにデータを注ぎ込む「蛇口(UI/UX)」が使いにくければ、現場の負担が増え、不正確なデータが溜まるだけです。

私たちMashmatrix Sheetは、その「蛇口」を快適なものにします。SalesforceをExcelのように直感的に操作できる環境を提供することで、現場の誰もがストレスなく、正確なデータをCRMに供給できるようになります。Kingston社の例のように、企業のDXは段階的に進みますが、その最初の、そして最も重要な一歩でありベースとなるのは「信頼できるデータ基盤の構築」です。

Salesforceを導入し、Mashmatrix Sheetでその活用を最大化すること。それが、AIという強力なエンジンを活用し、未来のビジネスで勝ち抜くための最も確実な道筋であると、今回のフォーラムを通じて改めて確信しました。

まとめ

今回のフォーラムは、AIとデータの活用がもはや未来の構想ではなく、「実践」の段階に入ったことを深く感じさせられました。弊社として台湾のフォーラムへの参加は初めての試みでしたが、台湾企業の先進的な取り組みや活気あるSalesforceのエコシステムを肌で感じることができ、大変有意義な時間となりました。

最後に、今回の貴重な機会を提供し、終始温かくご案内いただいた天新資訊の皆様、特にご担当のElisha Liuさんに、この場を借りて心より感謝申し上げます。

今後もこのようなさまざまな最新動向を皆様にいち早くレポートしていきますので、ぜひご期待ください。

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